最終更新日:2024年05月17日
工場や倉庫の屋根でよく見かける「折板屋根」。一口に折板屋根といっても、複数の種類がありそれぞれ特徴が異なります。そこで、今回は折板屋根における種類別の特徴や改修方法、改修費用の目安などについて詳しく解説します。
工場や倉庫の建築・改修を検討している方は、ぜひ折板屋根について理解を深め、納得できる工事計画を建てましょう。
折板屋根とは
折板屋根とは、波型の形状が特徴の金属製屋根です。折半屋根で使用する金属はさまざまで、亜鉛メッキ鋼板や、塩ビ鋼板、ガルバリウム鋼板などが挙げられます。
工場や倉庫の屋根として定番ですが、他にも自転車置き場やガレージ、車庫、物置などの屋根としても用いられることが多いです。
折板屋根は金属製であるため丈夫で頑丈なのが特徴です。ストレート素材とは異なり、アスベストの心配がない点や、水分を吸収しにくく雨漏りリスクが低いことなどが、折板屋根のメリットです。
折板屋根の種類
折板屋根は大きく3つの種類に分けられます。具体的に、どのような種類があるのか、以下から見ていきましょう。
重ね
折板屋根における「重ね」とは、タイトルフレームと呼ばれる素材をボルトとナット(ネジ)で固定した方法です。頑丈に固定されている点が特徴で、強風にさらされても屋根が吹き飛んでしまうリスクが低いといったメリットがあります。
近年猛威が拡大している台風の影響にも耐えやすく、安心して活用したい場合におすすめ出来る種類です。
一方で、ボルトが屋根の表面に露出してしまうため、審美性に劣るといった難点もあります。丈夫さ、見た目のバランスを見て判断することが重要です。
ハゼ締め
ハゼ締めとは、2つの金属を折り曲げて組み合わせた屋根のことです。そもそもハゼとは、金属同士を折り曲げて組み合わせた部分を指し、この施工方法をハゼ締めと呼びます。
重ねとは異なり、ボルトやナットで屋根を固定せず、穴をあける必要もないためコストを低くおさえやすいのがメリットです。
また、屋根に穴をあけないため、隙間からの水の侵入を防ぎやすいといった特徴もあります。ゲリラ豪雨や台風などでも漏水しにくいため、雨漏りを回避したいときに便利です。
嵌合(かんごう)
折板屋根の種類の一つが嵌合です。嵌合とは、吊子で固定するのが特徴の屋根で、素材をはめあわせて取り付けます。
ボルトを用いて屋根を固定しますが、表面に露出しないのが魅力です。重ねのような丈夫さがありながら、ハゼ締めのように見た目がすっきりとしています。
ややコストが高めの種類ではありますが、耐久性と審美性を妥協したくないのであればおすすめの折板屋根です。
折板屋根の改修方法と費用目安
折板屋根の改修方法と費用目安について解説していきます。実際に施工することとなった場合、どの程度の費用が必要となるのか、改修方法別に見ていきましょう。
カバー工法
折板屋根の改修方法として、まず挙げられるのがカバー工法です。
カバー工法は、すでに設置されている屋根の上に、新しい屋根を重ねるようにして設置する改修方法です。つまり、既存の屋根と新しい屋根とで二重になります。
屋根が二重であることで、断熱性及び防水性を向上できるのがメリットです。すでに雨漏りの問題が生じている場合であっても、比較的短期間で解消することができます。
ただし、屋根が二重になる分、建物にかかる不可も大きくなるため、建物の耐久性によってはカバー工法が選べない場合があります。
なお、カバー工法の改修費用は、1平米あたり7,000円前後です
塗装工事
気軽に実施しやすい折板屋根の改修工事として挙げられるのが、塗装工事です。折板屋根の塗装工事では、表面の汚れを除去したうえで塗料を塗布します。
規模の小さい改修であるため、工期も費用もおさえやすいのがメリットです。また、塗装で審美性が高まるだけでなく、塗料の持つ防水や防汚などの機能性も期待できます。
塗装工事の場合、1平米あたりは5,000円前後であるため、コストを抑えたい方にもおすすめです。
葺き替え工事
葺き替え工事は、折板屋根の工事の中ではもっとも大がかりな工事です。すでに設置されている古い屋根を撤去してから、新しい屋根を設置します。
古い屋根がすでに耐用年数を迎えている場合や、耐用年数を長くしたいときには、葺き替え工事がおすすめです。しかし、工事の費用には、既存の屋根を撤去する工程も含まれるため、高額になりやすい傾向にあります。
実際、折板屋根の葺き替え工事では、1平米あたり13,000円~18,000円が相場です。予算と照らし合わせたうえで検討してみましょう。
おわりに
今回は折板屋根の特徴や種類、改修方法別の費用目安などについてご紹介しました。倉庫や工場の定番である折板屋根にはいくつか種類があり、それぞれメリットや特徴が異なります。
また、改修方法によって費用も大きく異なるため、あらかじめ確認しておかなければなりません。倉庫や工場の新設・改修を検討している方は、どのような折板屋根を取り入れるかを慎重に検討したうえで判断しましょう。