最終更新日:2019年10月02日
手の傷を放置していると食中毒を発生させる要因に?
近年は毎年のように夏が猛暑で体力を削られるとともに気温・湿度の高さから食品の傷みも早くなり食中毒を起こす可能性も高くなっています。
家庭内でも食中毒にならないよう対策が必要ですが食品工場では一般家庭以上の安全衛生の対策が求められます。
食品の生産工場において包丁などの刃物使用時に手を切ってしまって傷をつけたり高温のお湯や油で火傷を負ったりして手に傷ができることも珍しくありません。
この手の傷の処置をしっかりせずに放置していると食中毒を発生させる大きな要因となることは意外に知られていません。
手の傷を放置していると常在菌の一つである『黄色ブドウ球菌』が増殖します。
黄色ブドウ球菌は動物・人の皮膚や消化器官に生息する常在菌で傷口が化膿すると一気にその数が増殖する可能性が高まります。
手の傷が化膿下状態のまま食品を扱うと黄色ブドウ球菌が食品に移り今度は食品の中で増殖をはじめます。
そのまま増殖をするだけでは食中毒になることはありませんがこの際にエンテロトキシンを作り出します。
このエンテロトキシンは毒素で熱や乾燥に強く胃酸・消化酵素でも分解することが難しいため付着した食品を食べることで食中毒を発症することになります。
発症までには早い時には30分、遅くとも6時間ほどで吐き気・嘔吐・下痢の症状を起こします。
食中毒にならないための対策について
実際に食品製造に従事する方が手に傷がある状態で作業をしたために起こった食中毒の例を紹介いたします。
あるお弁当やさんで厨房業務を担当する方が揚げ物の作業時に火傷を負いビニール製の使い捨て手袋をつけて作業をしていました。
が、お昼の時間帯で業務がかなり忙しくなり焼肉弁当のお肉をカットする時に手袋を外して作業を行ってしまいました。
この時に焼肉に黄色ブドウ球菌が付着し購入したお客さんが数時間後に食べ、その2時間後くらいに食中毒の症状を起こした事例があります。
ここに記載した事例では本来作業時に着用するビニール手袋を怠ったことが大きな要因となりました。
食中毒を起こさないための対策には基本的に3種類のものがあります。
1.食品を素手で触らないこと
2.調理器具を殺菌洗浄すること・手洗いをすること
3.食品の低温保管(20°~50°が食中毒菌が増殖しやすいため)
食品に食中毒の要因となる菌を付着させないこと・増殖させないことが食中毒にならない基本的な対策です。
食品製造に携わる方は上記を、マニュアルに組み込み発症防止に努めてください。