最終更新日:2024年05月17日
建物の老朽化や事業の変更、利用人数の変化などに伴い、工場や倉庫などの改修工事を行うことがあります。決して珍しい工事ではないものの、ここで知っておかなければならないのが「建築確認申請」の存在です。建築確認申請は、改修工事のほか、大規模な修繕や模様替えなどでも必要となります。
そこで、今回は建築確認申請の概要をはじめ、確認申請における要否判定表についても触れていくため、参考にしてみてください。
建築確認申請とは
建築確認申請とは、建物が基準を満たしているか否かを審査するものです。建物は本来、建っている敷地や構造、用途、設備などでさまざまな基準が設けられています。基準を無視した建築や改修工事などは、法律に触れるケースもあるため、あらかじめ理解したうえで、工事・改修の計画を立てなければなりません。
とはいえ、建築確認申請は必ずしも工事や改修の際に必要とは限りません。比較的軽微なリフォームであれば建築確認申請は不要です。
おもに建築確認申請が必要となるのは、増築工事や、屋根工事、外壁の回収などの傾向にあります。
建築確認申請における「第一号~第四号建築物」とは
建築確認申請において知っておくべきなのが「第一号~第四号建築物」の存在です。建築基準法では、第一号から第三号に該当する建築物の建築や工事で、なおかつその規模が大きい場合に建築確認申請をすべきと定められています。
この第一号~第四号建築物とは、特殊建築物と呼ばれる建物(第一号)や、大規模な木造建築物(第二号)、二階建て以上もしくは延べ面積が200㎡を越える木造以外の建築物(第三号)、都市計画区域で定められているエリアの建築物、景観法で定められたエリアの建築物(第四号)などが該当します。
上記に該当する建物の大規模な修繕や模様替えでは建築確認申請を行い、審査をしなければなりません。
建築確認申請の要否判定
建築確認申請は、「第一号~第四号建築物」に該当する建物の大規模な工事や改修において必要です。しかし、場合によっては、建築確認申請が不要であるケースもあることを覚えておきましょう。
具体的に、どのようなケースで建築確認申請が必要・不要であるのかを以下で解説します。
増築
増築は建物の階数を増やしたり、建物を壊したりすることなく床面積を増やしたりする工事のことです。増築を実施するにあたって、建築確認申請が必要となるのは、床面積を10㎡以上増やす場合です。
工場や倉庫を広くするにあたって、上記の面積以上に拡大する予定であれば建築確認申請は必須となります。
逆に、増築するにあたって増やす床面積が10㎡以下であれば建築確認申請は必要ありません。増築を検討している方は、そもそもどの程度広げる予定であるのかを確認したうえで、建築確認申請の必要可否を考えてみましょう。
外壁の改修
外壁の改修とは、外壁の張り替えや劣化・損傷部分の補修などが該当します。建築確認申請が必要となるケースとしては、一号~三号の建物であり、なおかつ大規模な改修を行う場合です。外壁の改修工事が大規模であるか否かの判断基準は「過半以上の改修であるか」です。
建物の外壁の半分以上を改修する場合は、大規模な改修として見なされます。ただし、外壁表面の塗装を塗り替える程度であれば、大規模な改修とは見なされず、建築確認申請も不要です。
吹き付けで施工した外壁をサイディングに張り替えるなど、比較的工数のかかる改修工事は建築確認申請の対象です。外壁を改修する際には、規模だけではなく「どのような工事を行うのか」も考慮したうえで建築確認申請の必要可否を確認することが大切です。
屋根の葺き替え
屋根の葺き替えとは、既存の屋根材を撤去して、新しい屋根材に変える工事のことです。通常、屋根の葺き替え工事では建築確認申請が必要となることがほとんどです。しかし、工事の内容次第では建築確認申請が不要な場合もあります。
たとえば、瓦屋根の葺き替えにおいて、屋根材と防水用のルーフィング間では構造部分としていない場合、このタイプの屋根の葺き替えであれば建築確認申請が不要となることがあるのです。
いわゆる「カバー工法」と呼ばれる施工方法は、古い屋根材の上に新しい屋根材を設置するため、工事の規模がそこまで大きくありません。そのため、建築確認申請が不要と判断されることがあります。
おわりに
本ページでは、建物の改修や工事で必要な「建築確認申請」について解説しました。
建築確認申請は、大規模な改修や工事で必要となる審査であり、建築基準法に基づいて定められているのが特徴です。
しかし、工事の規模によっては、建築確認申請が不要な場合もあるため、自社のケースでは必要であるか否かをあらかじめ確認しておかなければなりません。
現在、建物の改修や工事を検討している方は、本ページを参考にしながら、建築確認申請について理解を深めたうえで計画を建てていきましょう。