最終更新日:2024年11月15日
工場や倉庫が台風被害に遭った場合、経済的な負担は大きくなりやすいものです。工場・倉庫の経営状況によっては、資金繰りが難しく、必要な補修が難しくなるケースもあるでしょう。
そのような状況に陥ったとき、ぜひ検討してほしいのが「火災保険の利用」です。工場や倉庫の被害内容によっては、火災保険を利用することができるため、補修や修理などの資金確保で悩む必要がありません。
そこで、今回は火災保険請求の可否や、請求対象、請求する方法について解説します。
工場・倉庫における台風被害は火災保険請求が可能?
そもそも工場や倉庫の台風被害で火災保険請求が可能なのか、疑問に感じる方は多いでしょう。結論からすると、工場や倉庫における台風被害では、火災保険請求が可能です。さらに、賃貸の工場・倉庫の物件であっても火災保険請求ができるため、必ずしも自社保有物件である必要がありません。
工場や倉庫における火災保険の補償内容は、「火災」「落雷」「破裂・爆発」「風災・雹災・雪災」「航空機の墜落・物体の落下」「車両の衝突・接触」「暴力・破壊行為」「給排水設備の事故」などが該当します。
敷地が広い工場・倉庫は、さまざまなリスクにさらされやすいことから、補償範囲が広く、手厚いのが特徴です。
工場・倉庫の保険金請求対象について
工場や倉庫の保険金請求対象は、「建物」「動産」に分けられます。賃貸物件のケースは別ですが、不動産を自社で保有しているのであれば、建物を補償対象に入れることが可能です。また、動産として、設備や在庫、機器なども補償対象であることが少なくありません。
ただし、火災保険のプランによっては、補償対象が異なる場合もあるため注意が必要です。動産も補償されるようなプランを契約したい場合には、必ず動産の扱いについてもチェックしておきましょう。
ちなみに、工場や倉庫の保険金請求額は高い傾向にあります。一般的な住宅と比べると建物や敷地の規模が大きい分、火災保険の請求金額が高くなるからです。
また、工場や倉庫は人が住むことを前提としているわけでもないため、細かな破損は放置されることも少なくありません。そのため、いざ保険金を請求して破損箇所を全て修理しようとすると、高額な保険金請求額となるのです。
ちなみに、一般家庭の火災保険金の請求額は100万円前後が多いのに対し、工場や倉庫の場合は500万円を越えることが多いです。
工場・倉庫が火災保険を請求するためには?
工場・倉庫が火災保険を請求するにあたり、事前に準備しておかなければならないものがあります。ここからは、工場・倉庫が火災保険を請求する方法に触れていくため、ぜひ参考にしてみてください。
工場・倉庫内の撮影を行う
工場や倉庫が台風による被害を受けた際、保険金を請求するにあたってまず必要となるのが現場の写真です。自然災害によって破損していることを証拠として記録するために写真を撮影しておく必要があります。
写真を撮影する場合には、破損箇所をさまざまな角度で撮っておくことが重要です。さまざまな角度で撮影することで、被害規模を正確に記録しやすくなるためおすすめです。
また、写真は報告書と一緒に提示する必要があります。万が一、写真の撮影を忘れたまま、自己判断で修理をしてしまうと、保険会社が被害の事実を知ることができなくなってしまうため、保険金を支払ってもらえない可能性があります。
スムーズに保険金の支払いをしてもらうためにも、台風による被害を受けたときには、必ず写真を撮影しておきましょう。
見積書を用意する
工場や倉庫が保険金請求をする際には、見積もり書を用意しておきましょう。基本的に、工場や倉庫が台風による被害を受けた場合、保険金の受け取りを待ってから修理を行うことはほとんどありません。
保険金の受け取りを待たずに、まずは自己資金で修理を行うことが多いです。そのため、保険金を請求するためには、その際の見積書を提示する必要があります。見積書がないと、保険金を請求できなくなってしまうため注意してください。
調査会社に調査を依頼する
保険会社への保険金請求作業は、専門の調査会社に依頼することが多い傾向にあります。報告書の作成や必要なレポート、手続きなどに知見がある調査会社に依頼すれば、スムーズに火災保険の請求を行うことができます。
とはいえ、調査会社によって、経験や知識の深さには違いがあるため注意が必要です。複数の調査会社をピックアップして、それぞれの特徴を比較しながら信頼できる会社に相談してみましょう。
また、依頼費用も調査会社によって異なるため、相見積もりをしておくことがおすすめです。
おわりに
今回は、工場や倉庫が台風被害に陥った際の、保険金請求について解説しました。一般的な住宅の火災保険請求とは異なり、工場や倉庫は規模が大きい分、請求できる金額は高く、請求に必要なものも多いです。
また、調査会社へ依頼する必要もあるため、あらかじめ「何から手を付けたらいいのか」を理解したうえで進めていくことが大切です。
ぜひ、今回解説した内容を参考にしながら、台風被害に備えて火災保険の請求について理解を深めてみてはいかがでしょうか。