最終更新日:2024年11月18日
工場や倉庫では湿気と結露が深刻な問題を引き起こします。保管物の品質低下や建物の劣化、さらに従業員の健康被害にまで及ぶため、適切な対策が必要不可欠です。
本記事では湿気や結露の原因と、効果的な対策を具体的に解説します。
工場や倉庫で湿気・結露対策が重要な理由
湿気や結露は、快適な作業環境を損なうだけでなく、保管物や設備の劣化、建物自体の損傷を引き起こします。以下に代表的なトラブルを挙げます。
カビの発生
結露によって壁面や保管物が湿り、カビが繁殖します。たとえば、食品工場でカビが発生すると、製品の品質が損なわれるだけでなく、工場全体の衛生管理にも悪影響を与え食の安全性を揺るがします。。また、衣料品を保管する倉庫でカビが発生すると、商品価値の低下につながり、返品や廃棄が必要になる場合もあります。さらに、カビから発生する悪臭が倉庫全体に広がり、快適な環境を維持することが困難になります。
害虫の発生
ダニやゴキブリなどの害虫は、高湿度環境で繁殖しやすく、一度発生すると短期間で大量に増殖するリスクがあります。たとえば、製品を保管する段ボールやパレットの隙間に卵を産みつけられると、害虫が倉庫内全体に広がる可能性があります。これにより、製品の衛生基準が満たされなくなり、特に食品や医薬品の保管には致命的な影響を与えます。
建物の劣化
建物内に発生する結露を放置すると、コンクリートや木材が劣化し、ひび割れや腐敗が進行します。例えば、結露による水分が天井裏に溜まり、木材の梁が腐食してしまうと、建物の耐久性が低下し、雨漏りや崩落の危険性が増します。このような劣化を防ぐためには、早期に湿気対策を行い、修繕費用の増大を防ぐことが求められます。
錆や腐食の発生
機械設備の表面や部品に結露が発生すると、錆や腐食が進行し、機械のパフォーマンスが低下します。たとえば、金属製の生産ラインの設備に錆が発生すると、正常な稼働が妨げられ、製品の不良率が上昇する可能性があります。更には、錆の製品混入による製品回収リスクも高まります。
さらに、電気機器に結露が発生すると漏電が起こり、故障や火災につながるリスクも高まります。こうした機械トラブルは、部品交換や修理によるコスト増だけでなく、業務の停滞にも直結します。
従業員の健康被害
湿気やカビは、従業員の健康にも悪影響を与えます。たとえば、カビの胞子を吸い込むことでアレルギー症状や肺炎が引き起こされることがあります。特にアレルギーを持つ従業員にとって、高湿度環境での作業は健康リスクを増大させます。また、湿度が高い環境では不快感が増し、集中力が低下するため、作業ミスが増える原因となります。結果として、作業効率が下がり、生産性が低下することにつながります。
湿気や結露が発生しやすい原因
湿気や結露は、工場や倉庫の構造や運用方法によって発生しやすくなります。これらの施設では、広大な空間や特殊な建築構造が原因で空気の流れが悪化し、生産機械の発熱、生産工程での水の使用、冷蔵庫・冷凍庫との温度差などが原因となることが多々あります。ここでは、湿気や結露が発生しやすい具体的な原因を解説します。
広い空間・少ない間仕切り
工場や倉庫では、大きな製品を製造・保管するため、広い空間を確保し、間仕切りが少ない設計になっています。たとえば、自動車部品の保管倉庫ではパレットを積み上げ、オープンスペースで管理することが一般的です。しかし、こうした広い空間では空調の効きが悪く、冷暖房が一部のエリアに偏るため、温度差が生じやすくなります。この結果、冷えた壁面や床面に水蒸気が結露し、湿気が溜まる原因となります。
高い天井
工場や倉庫の天井は、機械の設置や大型製品の保管のために高く設計されることが多いです。天井が高いことで、温かい空気は上部に溜まり、冷たい空気は床に滞留するため、空気の循環が悪化します。この結果、天井近くに湿気が溜まりやすくなり、温度差によって結露が発生します。
換気効率の低さ
工場や倉庫では、製品や原材料の保管状況に応じて空気の流れが制限されることがあります。たとえば、保管効率を重視してパレットを高く積み上げると、通路が狭くなり、自然な換気が妨げられます。また、窓が少ない設計や、製品を湿気から守るために密閉性を高めた倉庫では、湿気がこもりやすくなります。これにより、湿度が高く保たれる環境が生まれ、結露の原因となります。
工場や倉庫での具体的な湿気・結露対策
工場や倉庫では、湿気と結露によるトラブルを防ぐために、様々な対策を組み合わせることが効果的です。ここでは、具体的な湿気・結露対策について詳しく解説します。
可能な限り換気を心がける
窓を開けて空気を循環させることは、湿気を取り除く基本的な対策です。たとえば、自動車部品を保管する倉庫では、2か所以上の窓を対角線上に開けて通気を確保することで、空気の流れを作りやすくなります。定期的に換気を行えば、結露の発生リスクを大幅に減らすことができます。
また、食品工場のように自然換気が難しい場所では、換気ファンを設置して強制的に空気を入れ替えることも効果的です。
ストレッチフィルムで製品を守る
湿気から保管物を守るには、ストレッチフィルムで製品全体を覆い、内部に除湿剤を封入する方法が有効です。たとえば、家電製品を保管する倉庫では、湿気による電子機器の故障を防ぐためにフィルムで包装し、湿気が入り込まないように管理します。
高湿度の環境下でも製品の劣化を防ぐため、特に梅雨時期や夏場の保管に有効です。
除湿剤・除湿器を使用する
広い空間では、業務用の除湿剤や大型の除湿器を導入することで湿度を効果的に管理できます。たとえば、医薬品を保管する倉庫では、家庭用除湿剤では効果が不十分なため、大型の業務用除湿器を設置し、適切な湿度を保つ必要があります。
また、電子機器を扱う工場では、製品の誤作動を防ぐために除湿器を稼働させ、湿度が一定以上にならないよう管理します。
シーリングファンの導入
シーリングファンは、空気を循環させて湿気を防ぐとともに、体感温度を下げる効果もあります。たとえば、大型の物流倉庫で働く従業員の快適性を向上させるために、シーリングファンを設置することがあります。天井に設置されたファンがゆっくり回転することで、空気の流れが生まれ、湿気がこもりにくくなります。
また、夏場の熱中症対策としてもシーリングファンは有効で、5℃程度の体感温度の低下が期待できます。
結露防止シートの使用
窓に結露防止シートを貼ることで、断熱性を向上させ、室内外の温度差を抑えて結露の発生を防ぐことができます。たとえば、冷蔵倉庫には基本的に窓がありませんので、「低温・恒温作業環境の諸室に」結露防止シートを貼ることで、冷気と外気の温度差による結露を防ぎます。これにより、床が濡れて滑りやすくなるリスクも軽減できます。
遮熱シート・遮熱塗料
遮熱シートは、太陽熱を反射して建物内の温度上昇を防ぐため、室内外の温度差を減らして結露を抑えます。たとえば、日差しが強い夏場の倉庫では、屋根や窓に遮熱シートを貼ることで内部の温度上昇を防ぎます。この対策は、冷房費用の削減にも貢献し、エネルギー効率の向上につながります。
まとめ
工場や倉庫では、構造上や原料・製品の保管方法によって湿気が溜まりやすく、結露が発生しやすい環境が生まれます。これを放置すると、保管物や設備の劣化、従業員の健康に深刻な影響を与える可能性があります。
本記事で紹介した対策を組み合わせることで、湿気や結露を効果的に防ぎ、快適な作業環境を維持することができます。定期的な換気や除湿、設備の導入を検討し、湿度管理に努めましょう。
湿度対策として工場や倉庫の改修を検討する際は、工場・倉庫の改修に精通した業者に相談することが大切です。滋賀・京都・福井で工場・倉庫の改修なら株式会社澤村にお任せください。