最終更新日:2018年08月29日
HACCP(ハサップ)とは何ですか?
「Hazard Analysis Critical Control Point」の頭文字をとったHACCPには、危害分析重要管理点という意味があります。
宇宙食の安全性を確保することを目的とした1960年代のアメリカで生まれたHACCPは、食品の製造過程に生じるさまざまな危害を分析することで、それらを最も効率よく管理できるポイントを連続的にチェックして安全確保に繋げる管理手法の一種となります。
例えば、美味しいハンバーグを焼く時に使う挽肉の中の食中毒や感染症を起こす細菌が、どのぐらい中心温度と時間で調理すれば安全なレベルに達するかというのを科学的に分析し、それを管理方法に活かすのも立派なHACCPとなります。
またこうしたHACCPを実践する食品工場や製造現場では、温度チェックなどを行った記録をすることで衛生管理における安全性のレベルを高めていると言われています。
HACCP導入によって食品製造方法にどんな違いが生じるの?
HACCPの導入されていない食品工場などでは、製造した商品の一部をランダムに取り出して検査や品質チェックをする実態があります。
この製造ラインで作られた商品に万が一食中毒などの異常が生じた時には、その前後に作った商品の全てを大量に廃棄せざるを得なくなるのです。
これに対してHACCPを導入した後の製造工程には、完成した商品だけでなく、調理に使う原材料のパック詰め工程などでも検査が行われるため、より具体的かつ早い段階で異常を発見しやすい違いがあるようです。
海外におけるHACCP義務化の状況
EU(欧州連合)では、一部の小規模事業者を除く全ての食品加工、食品流通、食品生産業者にHACCPの導入を義務付けるようになりました。
またHACCPの誕生国であるアメリカでは、2011年に食品安全強化法が成立したことで、このシステムを使った衛生管理の対象範囲が更に広がっているようです。
日本ではいつHACCPが義務化されるの?
日本国内におけるHACCPの普及や義務化は、後手に回ってしまっている実情があります。
しかし2020年開催の東京五輪が食中毒の多い真夏に開催されることを考えると、日本の食品工場や飲食店などでもHACCPのように高精度かつ早期に異常を発見できる仕組みを使って安全性の高い食べ物を製造する必要があると言えそうです。
ちなみにHACCPが導入されると細かなチェック項目やマニュアルの整備といった現場へのさまざまな負担が生じる問題も生じやすくなると言われていますので、それぞれの食品工場が衛生管理に力を入れるなどのHACCP義務化に向けた準備を早いうちから行っておくことも必要な時代になりつつあると言えるでしょう。