立退きをお願いしたいときはどうする？必要になる「正当事由」とは？ - 滋賀・京都で賃貸マンションアパートのリノベーション・リフォームならSAWAMURA

最終更新日:2022年12月28日

不動産物件にまつわるトラブルはさまざまありますが、もっとも多いのが入居者とのトラブルではないでしょうか。

どうしても問題につながってしまう入居者へは、立ち退きを依頼するという手もあるでしょう。

立ち退きを検討しているときに、知っておいてほしい点がいくつかありますので解説していきます。

• 1 立ち退きにまつわる基礎知識
• 2 正当事由とは？
• 3 賃貸物件における正当事由の例
• 4 「立退料」も必要？
• 5 まとめ

立ち退きにまつわる基礎知識

基本的には、賃貸物件の契約は数年のあいだ継続していくことが原則とされています。

契約時に「◯年◯月に契約満了したら退去してもらう」という契約をしているのであれば別ですが、そうでないのなら契約を継続していくものと考えられます。

賃貸オーナーは大前提として、借主と結んだ契約を個人の判断で取り消すことは難しいと考えましょう。

どうしても問題があり法的に立ち退きをお願いしたいときには「正当事由」が必要になります。

正当事由とは？

正当事由とは、契約を解約するために必要になる、客観的に見ても正当と考えられる理由のことです。

「借地借家法」の28条では、次のように定義されています。

【借地借家法28条】
「建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として、又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」

つまり、正当事由には次のような要素がなければいけません。

◇賃貸人と賃借人の建物の使用を必要とする事情
◇建物の賃貸借に関する従前の経過
◇建物の利用状況
◇建物の現況
◇建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出

これらの条件を満たしていてはじめて「正当性がある」と判断されるのです。

具体的にどのようなものなのか、さらに詳しく解説していきましょう。

賃貸物件における正当事由の例

正当事由には、例えば次のような内容が認められます。

◇国や自治体からの指示により取り壊しが必要になってしまった
◇ 物件そのものが老朽化していて住み続けると危険である
◇そのほか建替えや再開発の必要がある

このように、物件そのものの安全性などに関わるときには正当事由として認められることが多いようです。

「リフォームやリノベーションをするために立ち退きを請求したい」という理由も、正当事由として認められるでしょう。

「立退料」も必要？

立ち退きの際には「立退料」を用意することが少なくありません。

立退料は、立ち退きをお願いした相手に渡す金銭的な援助のことです。

突然の立ち退きを求められても、準備ができていないケースが大半ですよね。

そうしたとき、立退料を用意することで誠実な姿勢で頼むことができます。

費用相場をあげるのは難しいのですが「引っ越しに十分な金額」を参考にしましょう。

現在のアパートに入居するときにかかる敷金や礼金を含めた金額に少し上乗せした金額を立退料としてください。

多くの場合、数十万円になるでしょう。

安い金額ではないものの、受け取った相手も、金銭的な援助があれば「絶対に立ち退きを認めない」というような頑なな姿勢になりにくく、トラブルを避けやすくなるでしょう。

ただし、立退料を用意していればそれで立ち退きを請求できる、というわけではありません。

当然ながら、正当事由がなければいくら立退料をつんだとしても強制的に立ち退かせることはできません。

あくまで正当事由がある上で、立退料によってプラスアルファのサポートをすることが目的です。

「正当事由はないけれど、賃料未払いなどの理由で立ち退きをお願いしたい」「本人にかけあっても取り合ってもらえない」というときには、弁護士へ依頼することをおすすめします。

場合によっては交渉がうまくいかず、長引いたり、裁判になるような大きなトラブルになったりする可能性もありますので、一人で抱え込まないようにしましょう。

まとめ

経営している賃貸物件の入居者とのあいだには、さまざまなトラブルも発生すると思いますが、正当事由があれば立ち退きも依頼できます。

ただし正当事由として認められるためには、さまざまな条件がありますので注意してください。

スムーズな立ち退きのためには立退料なども用意し、円満に終えられるよう意識したいものです。