
最終更新日:2022年03月28日
複数の医療機関を運営する場合、医療法人化を検討する方が多いのではないでしょうか。医療法人化は必ずしも最良の選択しとは言えません。メリットとデメリットの両方を踏まえ、自身にとってベストかどうか考えることが大切です。ここでは、医療法人化するメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。
医療法人とは
医療法人とは、病院や栗肉、介護老人保健施設などの開設を目的に設立する法人です。クリニックは個人事業主でも開業できますが、医療法人化することでさまざまなメリットを得られます。
医療法人化のメリット
医療法人化を検討する際は、自身にとってどれだけ多くのメリットがあるのか確認が必要です。医療法人化には、次のメリットがあります。
節税効果がある
個人よりも法人の方が税率が低くなります。ただし、一定の所得を超えなければ法人化による節税効果は得られません。個人では最大55%もの税金がかかりますが、医療法人では18%程度となります。節税効果が得られる所得については、税理士に確認しましょう。
給与所得控除
医療法人になると、経営者は法人から給与を受け取る形となります。個人事業主の場合、所得は全て自分の収入になりますが、医療法人の場合は法人から役員報酬を受け取ります。このように、勤務医のような形式になり、同時に給与所得控除を受けられます。
また、家族を理事にすれば、医療法人の理事報酬を支払うことで節税対策になる点も大きなメリットです。理事長の給与を抑えて家族の理事への給与を増やすことで、家族全体で見れば収入は同額でも、課税額は抑えられます。
事業の幅が広がる
医療法人を設立すると、分院を設立したりデイケア施設を運営したりできるようになります。事業の幅が広がれば、それだけ経営の負担も大きくなるため、いきなり複数の事業を始めることはおすすめできません。しかしながら、将来的に事業の幅を広げたいのであれば、まずは法人化しておいた方がよいでしょう。これは、分院を設立していなくても、法人化によって税金面のメリットを得られるクリニックが多いためです。
相続対策ができる
個人クリニックを承継する場合、多額の相続税がかかる可能性があります。一方、医療法人の場合は理事長の変更のみで承継できます。相続税が発生しないため、後継者への負担を抑えられます。子供が将来的に医師を目指し、クリニックを継ぎたいと言う可能性がある場合は、子供の負担を減らすためにも医療法人化を検討した方がよいでしょう。
退職金の準備
医療法人を設立すると、理事長は給与所得を得ることになります。残りの利益は最終的に退職金の形で受け取れます。ただし、相続する場合は経営のことも考えて退職金額を決めなければなりません。退職金から控除分を差し引き、その1/2が課税されるため、退職所得税を抑えられます。
医療法人化のデメリット
医療法人化にはデメリットもあります。メリットと比較して、医療法人化すべきかどうか考えましょう。
事務処理が煩雑になる
医療法人は個人事業主と比べて事務処理が煩雑なため、普段の業務と事務を併任することは困難です。毎年、事業報告書や議事録を作成する必要があります。このような負担を軽減するために、事務作業を外注したり人材を雇用したりすることも検討しましょう。
月収が固定される
次の時期に変更可能ですが、月収が固定されることはデメリットとも言えます。例えば、医療法人の利益が3,000万円で、役員報酬を500万円に設定した場合、残り2,500万円は医療法人の元に残ります。年度の途中で急に多額のお金が必要になっても、すぐに役員報酬を増やすことはできません。
社会保険の加入が必須
医療法人を設立すると、社会保険への加入が必須です。社会保険料は役員と従業員で折半しますが、理事長の場合は実質的に全額負担の扱いとなります。ただ、社会保険に加入することで将来受け取れる年金が多くなるため、必ずしもデメリットとは言えません。
また、医師会に加入している場合は、医師国保への加入が可能です。保険料が割安になる場合が多いため、医療法人化した後も継続した方がよいかどうか確認しておきましょう。
まとめ
医療法人化すると、事業を手広く行えることに加えて相続対策になります。その一方で、社会保険への加入が必要であったり月収が固定されたりといったデメリットもあるため、医療法人化すべきかどうか十分に検討することが大切です。
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