
最終更新日:2022年04月28日
介護事業を行うには、社会福祉法人や医療法人社団、NPO法人などの法人格を持つ必要があります。どの法人格を取得するか悩む方が多いのではないでしょうか。ここでは、介護事業を行うために取得が必要な法人別に、特徴やメリット・デメリットなどについて詳しくご紹介します。
介護事業を行うために必要な法人格
介護事業を行うために法人格の取得が必要です。どの法人格でも介護事業は行えますが、それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえ、自身に合ったものを選びましょう。
社会福祉法人とは
社会福祉法人とは、福祉サービスの提供を目的とする非営利法人です。介護事業は福祉サービスに該当します。社会福祉法人は公共性が高いため、適正な運用を求められます。そのため、経営基盤を固め、提供する福祉サービスの質を高めることを継続しなければなりません。
設立するには、役員や資産などの一定の要件を満たす必要があります。そのため、一個人が即時に社会福祉法人を設立することはできないでしょう。
メリット
社会福祉法人のメリットは、施設設備に対して補助を受けられることです。他の民間団体や個人の事業への補助と比べて充実しています。そのため、充実した設備の介護施設の開設を目指す場合に向いています。
また、社会福祉法人の主な事業には税金がかからず、株式会社よりも優遇されている点も要注目です。ただし、介護事業とは別のサブ事業は課税対象のため注意しましょう。
デメリット
社会福祉法人は設立や運営の条件が厳しいため、設立ができないケースが少なくありません。また、役員の人数をはじめとした細かな要件も満たす必要があります。さらに、資金調達は寄付金や補助金のみであり、株式の発行による調達は認められていません。
そのほか、行える収益事業にも制限があります。公益性が高く、社会福祉に関連するサービスに限定されるため、介護事業を取りやめて一般事業を行いたいと思っても実現できません。
医療法人社団とは
医療法人社団とは、医師または歯科医師が常時勤務するクリニックや老人保健施設を開業する法人です。一定の目的によって集まった人の集団のことを「社団」といいます。
メリット
医療法人社団のメリットは、給与として報酬を受け取れるようになることで、結果的に節税になる点です。給与所得控除によって所得を抑えられるため、所得税も安くなります。また、医療法人社団は分院を開設できます。個人では分院を開設できないため、手広く事業を行いたいのであれば医療法人社団を設立することになります。
クリニックと介護施設の両方を経営したい場合も医療法人社団の設立が必要です。
デメリット
医療法人社団は運営が複雑で事務処理も煩雑です。
この点で医療法人化を渋っている先生が多く見受けられます。そのため、専門スキルがある事務員の雇用を前向きに検討した方がよいでしょう。また、役員と従業員はいずれも健康保険・厚生年金への加入が必要です。医療法人と従業員の労使折半のため、大きな金銭負担が発生します。
特定非営利活動法人(NPO法人)とは
特定非営利活動法人(NPO法人)の非営利は、利益を分配しないことを指し、収益事業を行わないという意味ではありません。そのため、要件を満たせばNPO法人でも介護事業を行えます。また、介護事業はNPO法人の要件である「保険・医療または福祉の増進を図る活動」に当てはまります。
NPO法人の開設における主な要件は、10人以上の社員、3人以上の理事と1人以上の監事、役員のうち報酬を受け取る者の数が総数の3分の1以下などです。
メリット
NPO法人は、法人団体加入の入会費や会費などは課税の対象外です。また、法人住民税の均等割が免除されます。法人格を持つことで国や地方公共団体の福祉関係の事業委託を受けられるチャンスも得られます。
デメリット
NPO法人の設立には、定款や設立趣旨書などの提出が必要です。介護事業は主たる活動内容として適しているため、書類に不備がなければ審査に通過できるでしょう。NPO法人は、事業報告書や収支計算書、財産目録、社員名簿などを都道府県に毎年提出することが義務付けられています。そのほか、書類作成に1ヶ月、定款作成に2ヶ月など、他の法人格と比べて設立までの準備に時間がかかることもデメリットです。
まとめ
社会福祉法人、医療法人社団、NPO法人にはそれぞれメリットとデメリットがあります。介護事業を始めようと考えているのであれば、まずはどの法人格が望ましいかを考えましょう。また、準備を進めていく中で、介護施設の建設、既存物件のリフォームなどを得意とする業者にも相談が必要です。介護施設の開業を検討しており、滋賀・京都・福井でデザインにもこだわる建設、建築設計、リフォームの業者をお探しなら株式会社澤村にお任せください。