
最終更新日:2022年05月30日
院長が高齢や病気が原因で病院・クリニックの経営を第三者に承継することになった場合、子どもや親族への継承が1つの選択肢となります。他には、外部から経営の知識がある人物を探して承継してもらう方法もあります。どちらが自院にとってベストな方法かを知るために、親子・親族承継を選ぶメリット・デメリットをチェックしておきましょう。
ここでは、医院承継で親子・親族承継を選ぶ際の注意点を含め、承継先の選び方のポイントを解説します。
医院承継の種類
医院承継とは、病院やクリニックの事業承継のことです。一般的には親子や親族間での事業承継がほとんどでしたが、昨今の後継者不足の問題により第三者へのM&Aが増加傾向にあります。医院承継先によるそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
親子・親族間での承継
院長の妻や子どもなどの親族内へ病院やクリニックを承継します。そのために子どもが医師になるように促すこともあるほどに、ごく一般的なことでした。しかし、近年では子どもが医師でも親の病院やクリニックを承継しないケースが増えています。
第三者への承継(M&A)
少子高齢化の影響で後継者不足となり、第三者に病院やクリニックを承継するケースが増えています。後継者探しは困難を極めるため、通常ではM&Aの仲介ができる業者のサポートを受けます。
親子・親族承継を選ぶメリット
親子・親族承継を選択することには、次のメリットがあります。
初期費用がかからない
承継された親族のメリットは、初期費用がかからないことです。すでに存在している病院やクリニックを承継するため、建物の建設や医療機器の購入などは必要ありません。
患者・スタッフが離れにくい
M&Aの場合、経営方針が大きく変わることで患者やスタッフが離れる場合があります。親族内承継であれば、患者やスタッフから好感を持たれやすいため、患者数の減少やスタッフの退職などのリスクを抑えられます。
親子・親族承継を選ぶデメリット
一方、親子・親族承継を選ぶことには、次のデメリットがあります。
別の診療科の開設が難しい場合がある
親が循環器内科の医師で子どもが皮膚科の医師の場合、皮膚科を新たに開設することを検討するでしょう。しかし、地域のニーズや設備によっては、希望する診療科を開設できません。
親や親族が経営に関わる場合がある
承継された側としては、承継後は自分だけで経営の舵取りをしたいと思うこともあるでしょう。医院承継においては、承継後も元院長が勤務を続けたり経営のアドバイスをしたりする場合があります。このようなことにわずらわしさを感じる人にとっては、大きなデメリットと言えるでしょう。
医院承継は適切なタイミングで準備を始めよう
医院承継を考える際は、院長の年齢や体調などを踏まえて適切なタイミングで準備を始める必要があります。急に承継が必要になったものの準備ができておらず、経営に大きな問題が発生するケースが少なくありません。
医療承継の失敗を防ぐためのポイント
医療承継が失敗すると、患者離れやスタッフの大量離職、医療ミスなどさまざまな問題が起きる恐れがあります。次のポイントを押さえて、医療承継を成功に導きましょう。
コミュニケーションを欠かさない
医療承継の際は、後継者と十分にコミュニケーションを取りましょう。家族だからわかっているなどと思い込み、コミュニケーションを十分に取らなかった結果、想定していた条件と異なっているとの理由で後継者が承継を放棄する恐れがあります。十分にコミュニケーションを取って、理解を深め合いながら準備を進めましょう。
承継後の元院長の扱いを決めておく
承継後に元院長が口を出すことで現院長の負担になる場合があります。承継後の元院長の扱いを決めておくことが大切です。経営に関することには口を出さない、その代わり診療方針の変更は認めないなど、条件付きルールを定めるとよいかもしれません。
後継者がいるかどうか早めに確認する
後継者がいないことが承継の直前になってわかる場合があります。そもそも承継を考えておらず、自分の代で病院・クリニックを畳もうと考えている方もいます。このようなことも含めて、承継の有無や後継者の有無などを早めに確認しましょう。
後継者がいない場合は外部から招いて育成するのも1つの方法です。
まとめ
医院承継で息子・親族間承継を選択すべきかどうかは、メリット・デメリット、注意点などを踏まえて考えましょう。息子が医師でも承継する意思がない場合もあります。また、息子・親族間承継においては承継後に外層や内装をリニューアルすることも検討しましょう。病院やクリニックのリフォームや新築を検討しており、滋賀・京都・福井でデザインにもこだわる建設、建築設計、リフォームの業者をお探しなら株式会社澤村にお任せください。