
最終更新日:2022年09月27日
クリニックを開業する際は、院外処方と院内処方のどちらにすべきか悩む方が多いのではないでしょうか。それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらを選ぶべきかはクリニックの状況や院長の考え方で異なります。ここでは、院内処方と院外処方の違いやそれぞれのメリット・デメリット、選び方について詳しく解説します。
院内処方と院外処方の併用は可能?
院内処方と院外処方の併用は原則認められません。これは、同日に同じ患者に院内処方と院外処方の両方を適用すると、処方料と処方箋料が二重に算定されます。同日でなければ院内処方と院外処方の併用は可能です。
院内処方とは
院内処方とは、診察を受けた医療機関で薬を処方する方式です。診察後すぐに薬を受け取れるため、患者は薬局に立ち寄ることなく帰宅できます。
院外処方とは
院外処方とは、医療機関で受け取った処方箋を薬局に出して薬を受け取る方式です。処方箋料や薬剤服用歴管理指導料などが発生します。
院内処方のメリット
院内処方には次のメリットがあります。
忙しい患者が利用しやすい
院内処方では、診察を受けた後に薬を受け取って、薬局に立ち寄ることなく帰宅できます。なるべく早く帰宅したい方、忙しくて通院に負担がかかっている方にとっては、院外処方よりも院内処方のクリニックの方が選びやすいでしょう。
患者の自己負担額を抑えられる
調剤薬局の手数料分の負担がない分、患者は自己負担額を抑えることができます。
院内処方のデメリット
院内処方には次のデメリットがあります。
薬によっては取り寄せが必要
特殊な薬は取り寄せが必要なため、患者を待たせることがあります。すぐに治療を始める必要がある場合、患者としても不安に感じるでしょう。
在庫リスクがある
薬には使用期限があるため、ストックしてある薬を処方する機会がなければ廃棄することになります。
薬の保管スペースが必要
院内処方のメリットは、薬局に行かずに薬を処方されることのため、ある程度の量の薬をストックしておかなければなりません。そのため、薬の保管に十分なスペースが必要です。
スタッフに負担がかかる
薬を管理する業務が発生するため、スタッフの負担が大きくなります。結果的に院外処方の場合よりも多くのスタッフが必要になり、人件費が上がる可能性もあります。
院外処方のメリット
院外処方には次のメリットがあります。
処方内容を二重チェックできる
医師が発行する処方箋に従って薬剤師が薬を調合します。その際に処方内容に誤りがないか確認するため、医師と薬剤師のダブルチェックによって処方ミスのリスクを軽減できます。
他の医療機関で処方された薬との飲み合わせの確認ができる
医療機関は、過去に処方した薬のデータを保管しており、飲み合わせを踏まえて処方する薬を決めます。院内処方の場合、他の医療機関で処方された薬は患者に確認が必要ですが、患者の記憶違いや伝え忘れによって、悪い飲み合わせの薬を処方するリスクがあります。
院外処方でなおかつかかりつけ薬局で薬を受け取る場合は、他の医療機関で処方された薬との飲み合わせチェックを薬剤師が行います。
在庫管理の手間がかからない
院外処方の場合は薬をクリニック内に保管する必要がないため、在庫管理の手間とスペース、薬剤を破棄する際のコストの削減に繋がります。
院外処方のデメリット
クリニックを受診した後に薬局に立ち寄る必要があるため、患者に負担がかかります。院外処方を理由に受診をやめる可能性もあります。
院内処方と院外処方の選び方
院内処方は患者にとってメリットがある一方で、薬の保管・管理・廃棄コストなどのデメリットもあります。院内処方は、薬の仕入れ値と患者が支払う金額の差額分の利益を得ることができ、過去にはこの薬価差益がクリニックの売上において無視できないものでした。
しかし、近年では薬価が年々引き下げられているため、院内処方を選択するメリットが薄れてきています。また、開業したばかりのクリニックはスタッフの体制も整っておらず、十分なスペースも確保することが難しいでしょう。そのため、院外処方の方がクリニックの経営に支障をきたしにくいと言えます。
また、院外処方が当たり前になりつつ現代では、院外処方であることだけを理由に患者が通院をやめるとは考えにくいのではないでしょうか。
まとめ
院外処方と院内処方のそれぞれのメリット・デメリットを踏まえ、クリニックにとって最適な方式を選ぶことが大切です。また、クリニックの開業時には、院内処方・院外処方についてだけではなく、患者が通いやすい内装作りにも注目した方がよいでしょう。滋賀・京都・福井でデザインにもこだわる介護施設・老人ホーム・医院クリニックの建設、建築設計、リフォームなら株式会社澤村にお任せください。