
最終更新日:2022年09月27日
クリニックを開業すると、開業医は年金を受け取れるのでしょうか。勤務医は公的年金に加入できますが、開業医になると個人事業主と同じ扱いになるため、社会保険には加入できません。ここでは、開業医になると年金はどうなるのか、今から準備しておきたい老後資金について詳しく解説します。
開業医の年金事情
勤務医は民間企業のサラリーマンと同じく、健康保険や厚生年金に加入できます。そのため、2022年時点においては原則65歳から年金を受け取ることができます。医師は全職種の中でも比較的収入が高く、それだけ年金保険料も多く支払うことになるため、それなりの年金額を受け取れるでしょう。
しかし、開業医となり個人事業主の扱いになると、国民年金にしか加入できません。そもそも厚生年金は国民年金の上に乗っている2階部分となります。開業医は厚生年金に加入できないことで年金制度の2階部分がなくなるため、それだけ受け取れる年金額も少なくなるのです。
また、遺族年金や障害年金も厚生年金ほど手厚くないため、年金のみならずさまざまな保障についても備えなければなりません。
開業医の年金額を増やす方法
開業医の年金額を増やすには、他の制度にも加入するしかありません。開業医の年金額を増やす方法は次のとおりです。
国民年金基金に加入する
国民年金基金は、国民年金に加入している人が任意で加入できる制度です。厚生年金の2階建て部分を補うことを目的としており、掛け金に応じて年金額を増やすことができます。掛け金は全額所得控除となるため、節税対策としても有効です。
小規模企業共済
小規模企業共済とは、毎月掛け金を1,000~70,000円の範囲で支払い、事業を終了や引退する際に退職金として共済金を受け取ることができる制度です。掛け金は全額所得控除となるため、節税対策にもなります。また、受け取り方法は「一括」と「分割」、「併用」から選択できます。
そのほか、一般貸付や緊急経営安定貸付、傷病災害時貸付、事業承継貸付、廃業準備貸付など、目的に応じてさまざまな貸付制度を利用できる点もメリットです。
変額個人年金保険
変額個人年金保険とは、払い込んだ保険料を保険会社が運用し、その運用実績に応じて保険金額や解約返戻金の額が変動する保険です。運用実績に応じて受け取れる金額が変動するため元本割れのリスクがありますが、より多くの金額を受け取れる可能性もあります。
医師年金
医師年金は、日本医師会が運営する日本医師会会員のみが加入できる私的年金です。自分で積み立てたお金を満65歳から受け取ることができる制度で、事業を継続するなど事情に合わせて満75歳まで受取開始年齢を延長できます。
保険料は基本年金保険料と加算年金保険料に分類され、基本年金保険料は月額12,000円、年払いで138,000円と一律になっています。また、加算年金保険料は任意で支払う保険料で、上限なく支払うことができます。
なお、医師年金には生命保険料控除がないため、節税効果は得られません。また、加入者が減少傾向にあるため、このまま衰退を続けるといずれは制度が破綻することも考えられます。加入を検討する際は、その時点における医師年金の加入状況を踏まえて、加入するかどうか決めましょう。
開業医が老後資金に困らないようにするには?
開業医が老後資金に困らないようにするには、年金額を増やすだけではなく次のように支出を増やしすぎないことも必要です。
収入と支出のバランスに注意する
私生活における収入と支出のバランスに注意しましょう。開業医は勤務医よりも高収入を狙えますが、多額の収入を得ると支出も増えてしまいがちです。あまり貯金せずに老後を迎えてしまうと、生活レベルを下げることができず、老後資金が不足する恐れもあります。
老後までに貯めるべき貯金額を算出したうえで、収入と支出を適切なバランスに整えることが大切です。
高額な医療機器の導入は慎重に考える
高額な医療機器を導入することで、クリニックの独自性を高められる場合があります。しかし、高額な医療機器は数千万から数億円もするため、ローンで購入することがほとんどです。そうなれば借金が増えてしまい、老後までに完成できないリスクが高まります。高額な医療機器の導入は慎重に検討しましょう。
まとめ
開業医は厚生年金に加入できないため、より多くの年金額を受け取るには国民年金基金や小規模企業共済、医師年金などを組み合わせる必要があります。ただし、掛け金が増えると月々の負担が増えるため、収入と支出のバランスを踏まえて最適な額を考えましょう。
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