
最終更新日:2022年12月28日
保険者に介護報酬を請求した後に誤りが見つかった場合は、「過誤請求」によって介護保険を請求し直す必要があります。介護保険が関連する介護施設や介護サービスなどを提供する場合は、過誤請求が必要になる事態が起きない体制を整えるとともに、過誤請求の方法について知っておくことが大切です。この記事では、介護保険の過誤請求の内容や起きる原因、対処法、手続きの流れなどについて詳しく解説します。
介護保険請求の仕組み
介護保険サービスを提供した事業者は、報酬の7~9割を国民健康保険団体連合会へ請求し、残りの1~3割を利用者に請求します。毎月1~10日に国保連へ請求書類を提出する必要があります。期限が短いため、内容にミスが起きたり省略したりするケースが少なくありません。
提出書類は、居宅支援事業所が「給付管理表」と「介護給付費請求書・明細書」、介護サービス事業所が「介護給付費請求書・明細書」です。
介護保険の過誤請求とは
介護保険の過誤請求とは、介護報酬額の決定後、あるいは支払が完了している段階で誤りが見つかった際に、その介護報酬の請求を取り下げて請求し直すことです。
国保連は居宅支援事業所や介護サービス事業所から提出された書類を審査し、問題がなければ各事業所へ報酬を支払います。請求書類に不備があると報酬が支払われないため、キャッシュフローが悪化する恐れもあります。そのため、なるべく過誤請求が必要にならないように対策が必要です。
介護保険の過誤請求には、「通常過誤請求」と「同月過誤請求」があります。
通常過誤請求
通常過誤請求とは、介護報酬の支払い完了後に誤りが見つかった際に、市区町村との協議のうえで取り下げて、誤りが認められた後に正しい額で再請求する方法です。再請求をした翌月の支払額から誤った金額を差し引いた金額が支払われます。
同月過誤請求
同月過誤請求とは、介護報酬請求の締切日よりも前に提出した請求をいったん取り下げて、締切日までに正しい内容で再請求する方法です。
過誤請求が発生する原因
過誤請求は、次のような場合に発生します。
- 故意に請求額を低くしたり高くしたりした
- 生活保護者のような公費受給者に対して介護保険分のみ請求して支払いを受けた
- 要件を満たしていない請求をした
- サービス提供記録に記載されていないものを請求した
介護保険の過誤請求の注意点
介護保険の過誤請求は、正しい知識に基づいて行わなければなりません。介護保険の過誤請求を行う場合は、次のポイントに注意しましょう。
請求明細書単位で取り下げる
介護保険の過誤請求では、請求明細書単位で取り下げます。例えば、特定の1項目だけを取り下げることはできません。
再請求は審議の後
誤りを発見次第、すぐに修正したいと考えるかもしれませんが、再請求できるのは国民健康保険団体連合会の審議後です。担当者に再請求のタイミングについて確認しましょう。
差額は現金で支払う
請求金額以上の過誤が発生した場合、差額を現金で支払います。複数の過誤請求が発生した場合は、請求金額を超えるケースが少なくありません。差額が大きいと、現金の支払いに困ることも考えられるため、少なくとも複数の過誤請求が起きる事態は防ぐことが重要です。
まずは過誤処理月を確認する
介護報酬の請求を取り下げる手続きを「過誤申立」といいます。介護保険の過誤申立の前に、該当の請求が審査決定済みになっているか確認しましょう。「返戻」となった場合は、過誤申立は不要です。過誤申立が必要な場合は、保険者に「介護給付費過誤申立書」を提出します。
同月過誤の場合は、同月過誤申立書の提出月の翌月に国保連合会へ再請求しましょう。通常過誤の場合は、申立書の提出月の翌月に国民健康保険団体連合会から「介護給付費過誤決定通知書」が送られてくるため、確認のうえで必要に応じて再請求します。
給付管理票の修正は処理の翌月以降に提出する
過誤請求の際に単位数を変更するために給付管理表を修正する場合は、過誤請求の翌月以降に提出します。
介護保険の過誤請求における金額の受け取り方法
同月過誤申立の場合は、同月中に取り下げと再請求を行います。「過誤申立による介護報酬の減額(返金)」と「再請求による介護報酬」を相殺し、過不足を他の介護報酬で調整する仕組みです。通常過誤申立の場合は、過誤申立から修正や再請求、金額調整に4ヶ月かかります。
まとめ
介護保険の過誤請求は、請求した介護報酬額に誤りがある場合に、請求を取り下げて再請求することです。過誤請求が発生すると、支払われるべき報酬が支払われるタイミングが遅れ、経営に支障をきたす恐れがあります。今回、解説した介護保険の過誤請求の方法をチェックして、問題が発覚した際に速やかに請求できるようにしましょう。