最終更新日:2023年01月20日
介護現場では、PDCAサイクルと呼ばれるビジネス手法を用いることができます。近年、大きな注目を浴びているのがSPDCAサイクルです。
介護現場で活用しやすいため、業務改善を求めている方はチェックしておくことをおすすめします。
この記事では、介護現場で使えるSPDCAサイクルの特徴やメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
SPDCAサイクルとは
SPDCAサイクルは、次の要素で構成されるビジネス手法です。
- S(Survey:調査)
- P(Plan:計画)
- D(Do:実行)
- C(Check:評価)
- A(Act:実行)
先頭の「S(Survey:調査)」を省いた「PDCAサイクル」を知っている方は多い印象ですが、SPDAサイクルはご存じない方が多いのではないでしょうか。介護では命を預かっているため、一度の失敗が利用者の今後を大きく左右することになりかねません。
そのため、入念な調査を行い、改善が不要なほどにハイレベルな計画を立てて実行することが大切です。それを実行するにあたりSPDCAサイクルが役立ちます。
SPDCAサイクルのメリット
SPDCAサイクルを実行することで、介護現場にどのような良い影響が及ぶのか詳しくみていきましょう。
利用者の満足度の向上
SPDCAサイクルの「S(Survey:調査)」では、利用者の心身機能について調査します。例えば、移動や排せつ、入浴などをどの程度できるのかや、自己管理能力やコミュニケーション能力はどれぐらいあるのかなどを調査しましょう。
そのうえで適切な計画を立てて実行することで、利用者の満足度が向上します。調査を行わずに計画を立てると、利用者の心身機能にそぐわない内容となり、満足度が低下してしまうでしょう。その結果、介護スタッフに対する不信感が高まり、介護を拒否するようになる可能性もあります。反対に、SPDCAサイクルを高いレベルで実行できれば、利用者の介護スタッフに対する信頼感が高まり、よりスムーズな介護が可能になります。
業務効率化
十分に調査しないまま計画を立てると、介護スタッフの手間と労力が増加します。業務効率が下がると、モチベーションや介護の質も下がる恐れがあるため、業務効率化は常に意識することが大切です。事前の入念な調査に基づいた計画は、介護スタッフの負担まで考慮しているため、結果的に業務効率が高まります。
業務効率化によって、時間に対する利益が増加するため、介護施設やサービス提供者にとってもメリットが大きいでしょう。
転倒のような事故のリスクの軽減
事前の調査に基づいて身体の介護をすることで、転倒のような事故のリスクを軽減できます。例えば、「自分で歩行が難しいものの平坦な道であれば問題なく歩ける人」と「平坦な道でも転倒のリスクが高い人」では、必要な介護が異なります。
利用者にとって最良の介護を提供することで、転倒のような事故のリスクを大きく軽減できるでしょう。
SPDCAサイクルのデメリット
SPDCAサイクルを実行すれば、介護の質や業務効率が必ず上がるわけではありません。あくまでもビジネス手法であり、具体的な内容は自ら考えて実行する必要があります。SPDCAサイクルのデメリットについて詳しくみていきましょう。
調査の質が結果を左右する
SPDCAサイクルの調査の質が結果を左右します。調査が不十分だと計画の妥当性も低下し、改善点が多くなるでしょう。そのため、調査項目を十分に検討したうえで入念に調査する必要があります。調査結果に基づいた計画を立てられているかどうかや、その調査結果は正しいかどうかなどに注目しましょう。
より一層の連携が必要になる
SPDCAサイクルは、1人の介護スタッフが行うわけではありません。例えば、事前調査によって得た情報を元にリハビリの目標と計画を立てる際は、調査は介護士、計画の立案はケアマネージャーなどが行います。また、事業所の医師の指示のもとでリハビリを提供し、その目標達成の状況を確認したり、リハビリ前と比較したりします。
このように、事前に調査を入念に行うことで各スタッフとの細かな連携が必要になります。普段から十分に連携できていない状況でSPDCAサイクルを導入しても良い結果にはなりません。まずは、各スタッフ間での連携体制を構築し、介護サービスを提供する際の基礎を固める必要があります。
まとめ
介護現場でSPDACAサイクルを活用することで、業務効率化や利用者の満足度の向上、介護の質向上などが期待できます。ただし、最初の調査が不十分だと適切な計画を立てることができず、PDCAサイクルと同等の効果しか得られません。立てたい計画の種類に応じて調査項目を考え、入念に調査することが重要です。今回、解説したSPCAサイクルの手法やメリット・デメリットなどを参考に、介護の現場へ取り入れてみてください。