最終更新日:2023年01月25日
介護報酬は、介護保険サービスを提供する対価として受け取る報酬です。介護保険サービスを提供する事業者は介護報酬について知識を習得し、適切に取り扱う必要があります。また、介護報酬は一定ではなく、定期的に改定される点にも注意が必要です。本記事では、介護報酬の仕組みや計算方法、介護報酬改定などについて詳しく解説します。
介護報酬とは
介護報酬とは、介護保険が適用される介護サービスを提供した際に受け取る報酬のことです。医療機関の診療報酬と同様に、保険が適用されるサービスを提供した場合にしか支払われません。また、介護報酬を支払うのは利用者と保険者(市区町村)です。利用者が1~3割を事業者に支払い、残りの介護報酬は保険者が支払います。
なお、介護保険はすべての人に適用されるわけではありません。介護や支援が必要となり、自治体へ要介護・要支援認定を申請し認定された人が介護保険を利用できます。
介護報酬の仕組み
介護保険の財源は、被保険者の保険料と自治体の公費が5割ずつとなっています。介護保険料の支払いは40歳から開始し、生涯にわたり納め続ける必要があります。
介護報酬の計算方法
介護報酬の計算方法は、介護保険サービスごとに定められた単位に、地域毎に異なる金額を乗じることです。利用者が1ヶ月に利用できる単位には、要介護・要支援の種類別に上限が定められており、これを「区分支給限度額」といいます。上限を超えた分は全額自己負担になるため、利用者は単位の上限を確認のうえで介護サービスを利用する必要があります。
介護報酬の単位の考え方
介護報酬における1単位は10円です。その単位にさまざまな加算をすることで、介護報酬を算出します。数ある加算の中でも知っておきたいのが地域加算でしょう。地域加算は、地域によって必要な人件費が異なることを考慮したものです。
サービスの種類別に定められた人件費割合に、地域別に定められた上乗せ割合を乗じた金額を基本報酬単価に加算します。
また、人件費割合は利用している介護サービスに応じて、45%・55%・70%のいずれかとなります。
70% |
55% |
45% |
訪問介護
訪問入浴介護
居宅介護支援
夜間対応型訪問介護
介護予防訪問介護
介護予防訪問入浴介護
介護予防支援
訪問看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防通所リハビリテーション
介護予防訪問看護
小規模多機能型居宅介護
介護予防認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
複合型サービス |
介護保健施設サービス
介護福祉施設サービス
介護療養施設サービス
短期入所生活介護
短期入所療養介護
介護予防短期入所生活介護
介護予防短期入所療養介護
地域密着型介護老人福祉施
特定施設入居者生活介護
認知症対応型共同生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
特定施設入所者設入所者生活介護
通所介護
介護予防特定施設入居者生活介護
介護予防通所介護
介護予防認知症対応型共同生活介護 |
令和4年度の介護報酬改定
介護報酬は定期的に改定されるため、随時確認のうえ適切に計算する必要があります。令和4年に介護報酬が改定されました。
厚生労働省の「令和4年度介護報酬改定による処遇改善」によると、加算額は対象の介護事務所の介護職員(常勤換算)1人につき月額平均9,000円の賃金を引き上げるとしています。
賃金引き上げの要件は現行の処遇改善加算の対象サービス事業所です。また、継続的に賃上げ効果を得るために、加算額の3分の2はベースアップなどに使用する必要があります。対象は介護職員ですが、事業所の判断によって他の職員に充てることができます。
介護報酬だけでは介護事業の継続は難しい
介護報酬は、実際に介護保険サービスを提供した場合にのみ支払われます。もし、利用者がなかなか増えない場合、介護事業の継続に必要な費用を支払うことができなくなるでしょう。例えば、人件費や施設の維持費などは、毎月固定で発生します。
そのため、十分な資金を準備したうえで開業する必要があります。
まとめ
介護報酬は介護事業における収益源のため、十分に理解しておくことが大切です。事務員を雇用する場合でも、介護報酬の計算について基礎知識は習得しておいた方がよいでしょう。また、介護報酬のような経営に関わる部分のほか、介護施設の用意についても忘れてはいけません。介護サービスを適切に提供できる環境を整えるために、プロに相談することをおすすめします。
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