
最終更新日:2023年02月20日
レセプト業務は、介護サービスを提供した対価として報酬を受け取るために必要な業務です。この業務に問題があると報酬を適切に受け取れなくなり、翌月以降の運営に影響が出る恐れがあるため、請求方法について確認しておくことが大切です。本記事では、介護業界のレセプト業務の流れや請求方法、押さえておくべきポイントなどについて詳しく解説します。
介護におけるレセプト業務とは
レセプト業務とは、介護サービスを提供した対価としての報酬を受け取るために、然るべき機関へ請求する業務のことです。介護サービス事業所では、「介護給付費請求書」や「介護給付費明細書」などを作成し、国民健康保険団体連合会(通称:国保連)に送ることで報酬が支払われます。
レセプト業務の重要性
介護のレセプト業務の内容にミスがあると、報酬が支払われません。その結果、人件費や施設の賃料、機器のリース料などを支払えなくなり、サービスの提供ができなくなる恐れもあります。このように、レセプト業務は非常に重要な業務と言えるのです。
介護報酬の仕組み
介護サービスを利用した場合、報酬の1~2割を利用者が支払い、残りの8~9割は事業者が介護給付費として国保連に請求します。請求期日は翌月の10日までです。通常業務に加えてレセプト業務を行う必要があるため、担当者を別途配置していない事業所は月末が忙しくなります。
介護のレセプト業務の必要書類
レセプト業務では、「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」が必要です。それぞれの特徴について解説します。
介護給付費請求書
介護給費請求書は、1ヶ月の中で提供した介護保険サービスの報酬を請求するための書類です。次のような項目に必要事項を記入します。
- 事業所の情報
- サービス費用を「居宅サービス・施設サービス・介護予防サービス・地域密着型サービス等」「居宅介護支援・介護予防支援」の区分別に各項目を集計し記載する
- 介護給付費明細書に基づいて「特定入所者介護サービス費等」に関する部分に記載する
- 介護給付費明細書の内容に基づき、公費請求における根拠となる法律別に必要項目を集計し記載する
記入箇所が非常に多いため、不明点については国保連をはじめとする関連機関に尋ねることをおすすめします。
介護給付費明細書
介護給付費明細書とは、提供した介護サービスの実績を記録した書類を元に介護給付費を算出し、その内訳や請求額を記載する書類です。次のような項目を記載します。
- 事業者の情報
- サービス提供年月
- 公費負担者番号・公費受給者番号
- 要介護状態区分・認定有効期間
- 介護給付費明細欄
レセプト業務の流れ
レセプト業務の流れは次のとおりです。
- 1.「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」を作成する
- 2.サービスを提供した翌月の1~10日までに請求データを作成し、国保連に提出する
- 3.申請内容に問題がなければ支払われる
なお、居宅介護支援事業所では「給付管理票」と「居宅介護支援介護給付費明細書」を作成し、上記の流れで請求します。請求および支払のスケジュールは国保連のホームページに掲載されているため、事前に確認しておきましょう。
また、提供サービスを日頃から記録しておかなければ、適切に介護給付費を請求できません。実際には提供していないサービスを提供したことにして介護給付費を請求するのは犯罪行為のため、日々の記録を怠らないようにしましょう。
介護のレセプト業務で知っておきたい知識
介護業界のレセプト業務においては、次の知識を備えておくことが大切です。
レセプトの返戻
レセプトの返戻とは、書類内容に不備がある場合に事業所へ書類が戻される処理のことです。この場合、事業所に介護給付費は支払われないため、売上が大きく低下します。よくある理由としては、単純な数値の入力ミスや請求の重複などです。
不備がない書類を作成し直して再請求し、審査に通れば介護給付費が支払われます。
月遅れ請求
月遅れ請求とは、サービス提供月の翌月10日までに請求できなかった場合に、遅れて請求することです。期限に遅れても、2年の時効が成立していない限りは請求すれば介護給付費が支払われます。月遅れ請求のよくある理由は、レセプト返戻による書類の再作成、介護度変更の申請が間に合わなかったことなどです。
まとめ
介護業界は、レセプト業務によって支払われた介護給付費によって運営が成り立っています。そのため、レセプト返戻によって収益が大きく低下すると、運営継続に支障をきたしかねません。今回、解説した内容を参考に、レセプト業務について基礎知識を習得しておくことが大切です。
また、これから介護施設の開設を検討しているのであれば、施設基準を満たした施設を作ることができる業者に相談しましょう。
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