
最終更新日:2023年03月20日
現代の日本が抱えている問題である「超高齢化社会」。この国内の現状にマッチする医療サービスとして訪問看護ステーションがあります。医療と介護の両面からサポートできるのが特徴であり、近年開業を検討するドクターが増えてきています。
しかし、開業する際には立ち上げまでの流れや注意点、資金問題などについて正しく理解しておくことが重要です。そこで、今回は訪問看護ステーションの開業を検討している方に向けて、立ち上げに向けて知っておくべき情報を発信します。
訪問看護について
訪問看護とは、患者が自宅等の住み慣れた場所にいながら、安全かつ自立した日常生活を送るためにあらゆる面で補助をするための存在です。主に、看護師が訪問して、患者の日常生活での食事や入浴、排せつなどのサポートをします。ほかにも、必要に応じてカテーテルの管理やリハビリ、ターミナルケア、褥瘡のケアなどを行います。
訪問看護は、介護ではないため、患者は必ずしも高齢者である必要はありません。怪我や病気等によって療養が必要な方が対象なので、未成年でも利用が可能です。ただし、介護認定の有無や年齢によって、請求先に違いがあるので、運営するのであれば介護保険や医療保険に係る指定を受けておくことがおすすめです。
訪問看護を立ち上げる際の流れ
訪問看護を立ち上げる場合、どのような流れで開業を進めていくのでしょうか。
ここからは、訪問看護ステーションの立ち上げの流れについて解説していきます。
開業に至るまでの主な流れは次の通りです。
1.法人の設立
2.事業所の契約(不動産の契約)
3.従業員の採用、人手の確保
4.事業所の設備の整備
5.事業所の備品の準備
6.必要な申請の実施
7.指定を受けたら事業スタート
上記では、法人の設立をステップ1としていますが、開業者によって事業所の契約を行ってからその住所で法人設立を行う場合もあります。上記はあくまでも大まかな流れなので、都合の良い方法を模索しながら、開業の準備を進めていきましょう。
訪問看護の開業における注意ポイント
訪問看護ステーションを開業するにあたり、いくつか知っておくべき注意点があります。
意外にも多くの開業者が陥りがちな落とし穴があるため、思わぬトラブルや損害を避けるためにも、以下を参考にしてみてください。
介護報酬や診療報酬の改定について
訪問看護ステーションの開業において、まず注意したいのが介護報酬や診療報酬の改定です。
介護報酬は3年ごとに報酬の体型及び単位数などが見直されています。診療報酬はさらに間隔が短く2年ごとです。改定された内容によっては、収入に大きく影響するので、経営が不安定になる可能性も考えられます。とくに、訪問看護の場合は収入の大部分が介護報酬・診療報酬なので、改定内容が収入に直結するといっても過言ではありません。
常に安定した経営を維持するためにも、改定のタイミングだけではなく、日頃から情報収集を心がけて事業計画に反映させられるように工夫してください。
看護師不足の問題
訪問看護ステーションを開業する際には、看護師不足に注意してください。
国内では看護師不足が深刻化しており、いざ開業しても人手が足りない問題に悩まされる場合があります。比較的安定した大手病院であっても看護師の確保が難しいとされているため、経営が軌道に乗る前の事業所ではさらに看護師の確保が難しくなるかもしれません。
そのため、開業を検討したら、看護師をどのように確保するのかも考えておくことをおすすめします。
訪問看護の開業で必要な資金
訪問看護の開業では、どのような資金がどの程度必要となるのでしょうか。
おおよその費用を把握するためにも、以下を参考にしてみましょう。
・法人設立費用(株式会社の場合約25万円・合同会社の場合約10万円)
・設備や備品等(50万~100万円)
・不動産関連(初期費用60万円前後)
・人件費(60万~100万円)
・運転資金(300万円)
・広告宣伝費(50万円前後)
どれくらいの規模で開業するのか、どの程度広告費用をかけるのか、収入を得るまでの期間をどれだけ短縮できるのかなどによって異なりますが、上記の目安を見てみると数百万円単位で資金が必要となることがわかります。
しかし、上記の資金は必ずしもすべて自己資金で賄う必要はありません。資金は、日本政策金融公庫や金融機関などから融資を受けることが可能です。適切な事業計画書などが必要とはなりますが、事業所向けに高額の融資を提供しているので、開業資金に不安がある方は検討してみてください。
おわりに
訪問看護ステーションはニーズが高く、事業所も年々増加傾向にあります。しかし、知っておかなければならない注意点があるうえに、立ち上げの流れも把握しておかなければならず、準備に時間や手間がかかるのも事実です。
現在、訪問看護ステーションを立ち上げたいと考えている方は、本ページを参考にしながら、開業準備を進めてみてください。