
最終更新日:2023年06月06日
本格的な少子高齢の時代に突入したことで、介護業界のニーズはますます高まっている状況です。こうした背景から、介護業界で開業したいと考える方も少なくありません。
とはいえ、介護業界で開業するにあたって、あらかじめ取得しておかなければならない資格や、知っておくべき法人形態の種類・ルールなどが存在します。
そこで、今回は介護業界で開業したいと考えている方へ向けて、必要な資格や法人形態などについて詳しく触れていきます。
介護で開業する際に必要な資格
介護業界で働く分には、従事する仕事によっては必ずしも資格は必要ありません。しかし、開業する場合には、以下の資格が必要となります。
サービス提供責任者になるための資格
介護業界で開業するのであれば「サービス提供責任者」の存在が必要不可欠です。開業する本人が取得していなくても、雇用するスタッフがサービス提供責任者の立場に立っていれば問題はありません。
しかし、スムーズな人手の確保は難しいことを鑑みると、やはり開業する本人がサービス提供責任者として従事するほうがいいでしょう。
なお、サービス提供責任者になるためには、以下のいずれかの資格が必要です。
・介護福祉士
・看護師
・准看護師
・保健師
・実務者研修
ホームヘルパー1級
介護職員基礎研修
また、介護職員初任者研修でもサービス提供責任者になることは可能ですが、実務経験が3年以上といったルールがあります。
有資格者は複数人確保を
有資格者が1人であっても介護業界での開業は可能ですが、可能な限り資格を持つスタッフを複数人確保することをおすすめします。
有資格者が1人では不足の事態が起きたときの対処が難しくなるからです。たとえば、何らかの事情により、有資格者が退職してしまうとその介護事業は閉業に追い込まれてしまうことが予想されます。
万が一の事態に備えて、少なくとも2人は確保しておくと安心です。
介護の業界で「持っておくことがおすすめ」の資格
介護業界で開業する際、必須ではないものの、今後の事業の展開を希望するなら取得しておくことがおすすめの資格があります。
具体的にどのような資格が挙げられるのか、以下を見ていきましょう。
社会福祉士
社会福祉士とは、介護を中心とした福祉関連に精通していることを証明する資格です。
介護福祉士と混同されがちな資格ではありますが、介護福祉士は介護サービス(入浴、排せつ、食事など)を直接提供する仕事であるのに対し、社会福祉士は支援が必要な方からの相談内容をもとに、助言や指導、制度の紹介などを行います。
生活相談員として、施設内の重要な役割を担うことができるのが特徴です。
精神保健福祉士
精神保健福祉士とは、精神福祉と呼ばれる分野で活躍できる資格です。具体的には、精神的な病気を抱えた方へ、助言や訓練のサポート、社会参加ができるように手助けをしたりすることが挙げられます。
介護業界にとどまらず、心の病に関わることであれば、さまざまな業界で活躍できるため、事業を拡大するチャンスにもつながることが期待できます。
管理栄養士
管理栄養士は、栄養に関するプロであり、サービスの利用者へ食事を提供する施設では重宝します。サービスの一環として食事の提供も視野に入れているのであれば、管理栄養士が献立や食材選びなどを担っていることは大きな強みとなるでしょう。
管理栄養士の他にも、調理師や漢方・薬膳などの資格もおすすめです。
介護業界における法人形態の種類
介護業界で開業する際、「法人形態」を決定しなければなりません。選べる形態は「株式会社」「合同会社・合資会社・合名会社」「医療法人」「社会福祉法人」「社団法人・財団法人」「NPO法人」「共同組合」です。
一般的に、介護業界での開業は「株式会社」が多くなるケースがありますが、NPO法人も多い傾向にあります。
NPO法人は、株式会社と比べると開業資金を安価に抑えやすいので、小規模運営を視野に入れているのであれば、有効な選択肢となります。
とはいえ、今後事業を大きくしていく予定の方や、認知度や融資の受けやすさを重視する方などは、株式会社のほうが有利な場合も多いので、運営方針などと照らし合わせたうえで検討しましょう。
おわりに
本ページでは、介護業界で開業を検討している方へ向けて、必要な資格や取得しておくことがおすすめの資格、法人形態などについてご紹介しました。
まだまだニーズが高まることが予想される今、介護業界で開業しようと検討する方は多いです。しかし、開業にあたって、事前に取得しておかなければならない資格や、知っておくべき法人形態・ルールなどが存在するので、事前準備を念入りにしておかなければなりません。
とくに、初めて開業する方や、介護業界に精通していない方の開業は、準備に漏れがないように計画的に進めていくことが大切です。
ぜひ、今回ご紹介した内容を参考にしながら、開業準備に取り掛かってみてはいかがでしょうか。