
最終更新日:2021年11月26日
就労支援施設の開業を検討している方は、その取り組み内容について十分に理解する必要があります。その上で、開業方法を確認しましょう。また、開業するには人員と建物の基準を満たさなければなりません。ここでは、就労支援施設の取り組みや開業方法、開業するために満たすべき人員と建物の基準について詳しくご紹介します。
就労支援施設が関係する障害者自立支援法について
就労支援施設の開業を検討している方は、障害者自立支援法について確認が必要です。障害者自立支援法は、障害者が働ける社会を実現するための就労支援の推進、一般就労を目的とした事業の立ち上げ、そのほかの関連施設の立ち上げがしやすいよう、規制緩和が組み込まれた法律です。
就労支援事業は、障害者自立支援法が定める取り組みの1つです。従来では、障害者が働ける社会を実現するための取り組み方について、施設側に一任していました。しかし、施設側が障害者に対して深い理解を得ているケースは少なく、障害者が働ける社会の実現はほど遠いのが現状だったのです。そこで、福祉の側からも支援し、障害者が働ける社会を実現しようというのが障害者自立支援法に基づく就労支援事業です。
就労支援施設の役割
就労支援施設とは、障害者が一般企業で働ける社会を実現するために、障害者の自立をサポートする施設です。実際に、一般企業で就労できている障害者もいるため、存在価値は非常に大きいと言えるでしょう。
就労支援施設の種類
就労支援施設には、A型とB型があり、それぞれ利用者や定員が異なります。それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
就労継続支援A型
就労継続支援A型の利用者は、65歳未満で障害のある方です。ただし、一般企業への就労が難しくありつつも可能である方が対象で、定員は10名となっています。
事業所と利用者が雇用契約を締結し、一般企業で就労するために必要な知識や技術の習得を目指して訓練を行います。利用者には給料が支給されますが、主な仕事は内職的なものであり、一般企業と比べて比較的低いのが現状です。
事業者は、雇用契約を締結するために雇用保険や労災保険、健康保険などの整備が必要であり、なおかつ仕事内容は収益性と継続性がなければなりません。そのため、社員を雇う余裕がないものの継続的に作業が発生するため労働力を求めている製造業やサービス業などから、業務委託で仕事を請けることが望ましいでしょう。
また、一般企業に就労後も6ヶ月間は引き続きサポートする必要があります。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、65歳未満の障害のある方が対象ですが、A型とは違い「雇用契約に基づく就労も困難な方」に限られます。定員は20人です。就労機会と生産活動の機会を提供する他、就労に必要な知識や技術の習得を目指して訓練を行います。
A型との大きな違いは、雇用契約の有無です。就労継続支援B型は雇用契約を締結しないため、保険の整備は必要ありません。ただし、仕事をした利用者に対して工賃を支払う点はA型と同様です。また、A型と同じく就職してから6ヶ月は就職後のサポートを行うことが義務付けられています。
就労支援施設を開業する方法
就労支援施設を開業するには、法人格が必要です。個人では開業できないので注意してください。その他、建築と人員において次の条件を満たす必要があります。
建築の条件
就労支援施設を建てる際は、建築基準法を守る必要があります。就労支援施設は「児童福祉施設等」に該当し、次の条件を満たしている場合のみ開業できます。
- 建築基準法や消防法などの法律を守っている
- 出入口以外に非難できる構造である(可能であれば)
- 建物が2階建以上の場合はエレベータや避難経路などを複数設置する
- 出入り口や通路はスロープや手すりなどのバリアフリー設備が必要
また、次の部屋が必要です。
- 訓練・作業室(自治体によっては一人当たりの床面積が定められている)
- 相談室(間仕切りを設置すれば多目的室と兼用できる
- 洗面所、便所(利用者が使いやすい設計)
- 多目的室(相談室との兼用できる)
- 事務室
人員の条件
就労支援施設において、スタッフのスキルや資格に明確な基準は設けられていません。ただし、次の条件を満たす必要があります。
就労支援施設ですので、社会福祉施設に多い、介護士などのスタッフ基準はありません。ただし以下のスタッフは必須です。
A型 B型
管理者 1名以上
サービス責任者 60人以下に対して1名以上 1名以上
生活支援員および職業指導員 10名に対して1名(常勤1名以上)
上記におけるサービス責任者は、相談支援従事者初任者研修およびサービス管理責任者研修を修了した実務経験のある人物に限られます。
まとめ
就労支援施設は、障害者の方が一般企業に就労できるように、仕事を通じてスキルアップを目指す施設です。A型とB型で人員の条件が若干異なる点に注意しましょう。また、バリアフリー、必要な部屋など、建物の条件も満たす必要があります。滋賀・京都・福井の就労支援施設の設計やリフォームなら株式会社澤村にお任せください。