最終更新日:2023年09月25日
医療業界で活躍するにあたり、知っておかなければならないのが医療法人の存在です。よく耳にする名称ではあるものの、具体的にはよく分からないといった方も多いのではないでしょうか。一口に、医療法人といっても実はいろいろな種類があり、それぞれ異なる特徴があります。
今回は、医療法人の種類の一つである、医療法人社団について詳しくご紹介します。
医療法人について
医療法人は、医療サービスを提供するために設立された法的な組織であり、医師、看護師、薬剤師、療法士などの医療専門家や、その他の関連する専門職のメンバーによって構成されています。
役割としては、医療施設(病院、クリニック、診療所など)を運営し、患者に高品質の医療ケアを提供することが挙げられます。
医療法人を設立するためには、法的な手続きと規制が必要。一般的に、医療法人は非営利組織として運営され、その収益は医療施設や患者のケアの向上に再投資されます。
医療法人は、医療施設の経営、医療スタッフの雇用、診療の提供、患者のケア、医療設備の維持、予算管理など、医療サービスに関連するさまざまな活動に取り組む必要があるとされている組織であり、医療業界を牽引する存在です。
医療法人社団とは
医療法人社団は、日本における医療機関の形態の一つです。非営利法人の一種で、医師や医療専門家によって運営されているのが特徴。一定の目的に参道する形で集まった人の団体であり、なおかつ法人格を持っている組織です。
運営における主な目的は、高品質な医療サービスの提供と地域社会への医療貢献とされています。
医療専門家によって運営されている医療法人社団は、高度な医療サービスや技術を提供することが求められていて、医師が組織の中心となって診療と治療を担当します。
医療法人社団は、出資者に対して残余財産の配当行為ができないといった特徴もあり、基本的に持分の定めのない医療法人のみ設立が可能です。
医療法人社団のメリット
医療法人社団のメリットとして挙げられるのが運営のしやすさです。法人と似た構造であることから、民間企業に近い形で医療法人社団を運営することができます。
そのうえ、設立事例も豊富であるため、これから設立したい方や将来的に設立を検討している方にとって、参考となる情報が多いのが魅力です。
また、医療法人社団は、解散・合併のハードルも低い傾向にあります。社員の意思があればいずれも実行できる点は、組織としても大きなメリットと言えるでしょう。
医療法人社団のデメリット
医療法人社団は運営がしやすいといったメリットがある一方で、デメリットとしては「資金流出に備える必要があること」が挙げられます。
基金拠出型である場合は払い戻しがあるため、資金が出ていくことを想定して準備しておく必要があるのです。
また、医療法人社団は、その構造上財産の管理にも問題があります。法人財団と社員の個人が保有する財産を混同しやすいことから、注意して管理することが求められます。
医療法人社団と医療法人財団は何が違うのか
すでに本記事で医療法人にはいくつかの種類があるとして解説しました。そのうちの一つが医療法人社団であり、ほかにも「医療法人財団」と呼ばれるものがあります。
医療法人財団は、個人もしくは法人などからの寄付金で設立するのが特徴。医療法人社団は人の集まりで構成されているのに対し、医療法人財団はお金の集まりで成り立っているようなイメージです。
設立数が豊富な医療法人社団とは異なり、医療法人財団は医療法人のおよそ1%とごくわずかな割合しか存在していません。
そんな医療法人財団のメリット・デメリットを見てみると、医療法人社団とは異なる一面も見えてきます。
医療法人財団のメリットは、設立する際の資産が個人や法人などからの寄付金のみであることから、払い戻しがありません。資金の流出リスクがないので、事前の備えは不要です。
しかし、寄付での設立にはデメリットもあります。医療法人社団とは異なり、基金制度を導入できず、資金調達の面でハードルが高めです。また、意思決定や業務執行は理事会主導となるため、柔軟性や民主制の部分で問題が生じやすいといった難点もあります。
おわりに
今回は医療法人の種類の一つである、「医療法人社団」について解説しました。
医療法人については、医療業界で働く方であれば、きちんと理解を深めておくべき組織の一つです。医療法人には、今回ご紹介した医療法人社団や医療法人財団などがあり、いずれも特徴が異なるため、きちんと把握しておきましょう。
また、開業を検討している場合、経営が軌道に乗ってきたタイミングで医療法人社団を設立する方もいるかもしれません。
将来的な自分の選択肢を広げるためにも、ぜひ今回ご紹介した内容をもとに、医療法人社団について正しく知っておきましょう。